
コクワガタは、日本の雑木林で最もよく見られるクワガタです。雑木林付近の道端、家やマンションなどにもやってきます。
体の色は黒が基調ですが、少し赤味を帯びているものもあります。オスは真っすぐに伸びた細い大あごが特徴的で、その姿形はシンプルでありながら均整の取れた美しさがあります。
コクワガタの体は平たく小さく、エサは少量ですむ上に長生きします。飼いやすさ、コスパともにナンバーワンのクワガタです。また、幼虫を成虫へと育てやすい点も大きな魅力です。
それではコクワガタについて詳しく見ていきましょう。
コクワガタの特徴
コクワガタの成虫の特徴・見分け方
コクワガタオス・大型個体

コクワガタオス・小型個体

オスは体長によって大あごの形が変わります。50mm程度の大型個体は、大あごの中央から上方にかけて内歯とよばれるトゲ状の突起があります。中型、小型となるほど、大あごも内歯も小さくなり、20mm程度の小型個体では大あごに内歯がありません。小型個体の大あごは短く、鬼のツノのような形をしています。
コクワガタメス

メスは20~30mm程度で、他のクワガタのメスと見分けがつきにくいのですが、よく見ると上翅(うわはね)と呼ばれる体下側の大きな黒い部分に細い筋が何本も走っています。またオオクワガタやヒラタクワガタのメスと比べると、体に丸みや厚みがなくほっそりしています。
コクワガタの飼育方法

風通しのよい、日光の当たらない場所で飼うようにします。30℃以上の高温が続くと、弱ってしまうので温度管理には注意が必要となります。
飼育ケースはできるだけ大きい方がよいのですが、コクワガタを数匹飼う場合なら、縦20cm×横30cm×高さ20cm程度の中型サイズのケースでOK。コクワガタは比較的大人しいクワガタですが、それでもオス同士はエサ場やメスなどをめぐってケンカをしやすいので、1ケースにつき、オスは1~2匹程度に抑えておくのがベターです。
飼育ケースの中には、クヌギやコナラの朽ち木を粉砕したおが屑(昆虫マット)を深さ10cm程度になるようにして敷くようにします。また、このときおが屑にはしっかり水分を含ませるようにします。
エサはホームセンターなどで売っているカブト・クワガタ用の昆虫ゼリーがおすすめです。手作りのエサなら、砂糖に少量の水を溶かしてトロトロの液状にした濃い砂糖水をクワガタはとても好みます。浅底の容器(昆虫ゼリーを入れる皿など)を持っている方は試してみてはいかがでしょうか。
また、クワガタは平らな場所でひっくり返った場合、なかなか起き上がれません。最悪の場合、そのまま衰弱死してしまうこともあります。これを防ぐために、木片、木の皮、落ち葉などをところどころに配置しておきましょう。こうしておくと、ひっくり返っても、これらに足を引っかけ、支点にしながら体を簡単に起こすことができます。
コクワガタは長生きできるクワガタです。活動シーズンにはゼリーや砂糖水などでしっかり栄養を与えたり、年間通じて、マットが乾燥しないように、定期的に水やりをしたりするなど、好適環境を維持できれば、越冬できる個体が多いです。個体によっては2回以上越冬するものもあります。
コクワガタの産卵・繁殖方法

オスとメスの交尾がうまくいくと、メスは卵を産める状態になります。そうなると重要なのが卵を産める環境を作ることです。
カブトムシならマットを用意しておけば、その中にポロポロと卵を産んでくれますが、コクワガタはそう簡単には卵を産んでくれません。
コクワガタは木の中に卵を産み付ける習性があります。また卵からかえった幼虫はその木を食べて育ちます。
ここで重要なのが、メスに産卵させたい場合は、飼育ケースの中にできるだけ大きな朽ち木を入れておくことです。朽ち木はホームセンターなどで入手することができます。
ちなみに普通の木を入れてもメスは卵を産んでくれません。というのも菌の浸食が進んでいない、繊維がしっかり残っている木は幼虫のエサにならないからです。菌によって木の成分が分解されボロボロになった朽ち木の状態でないと幼虫は食べ進めることができないからです。クワガタに卵を産ませるなら朽ち木ということはぜひ覚えておいてくださいね。
また、交尾を終えたら、メスが産卵に専念できるよう、オスとメスは別のケースで飼育するのがベターです。
幼虫の飼育方法

コクワガタの幼虫
メスが朽ち木を自分のあごで削り、その中に潜り込むようになったら、そこに卵を産み付けている可能性が大です。
また、朽ち木が少し軽くなったと感じたら、卵からかえった幼虫が木を食べ進んでいる可能性が大です。
そのように感じたら、マイナスのドライバーなどを使って、朽ち木を割いていきましょう。朽ち木はゆっくり丁寧に割いていかないと、最悪の場合、幼虫や卵を殺傷してしまうことがあるので注意が必要となります。
幼虫や卵をみつけたら、朽ち木から取り出し、より育ちやすい環境で育てます。菌糸ビンで幼虫を育てれば、成虫は大型化しやすくなります。コナラやクヌギのおが屑マットを敷き詰めたビンや飼育ケースで育てても羽化させることができます。
なお、幼虫や卵は1匹ごとに分け、広口のビンで育てることをおすすめします。
また、マットを敷き詰めるときは、幼虫を入れる前に、できるだけ強く固く敷き詰め、朽ち木に近い状態になるようにしておくことをおすすめします。
大型サイズを育てたければ菌糸ビンがおすすめ

夏が近づき、羽化シーズンになると、ビンや飼育ケースの外から幼虫がサナギになる様子を観察できる場合があります。
このとき大切なのが、サナギを刺激しないことです。つい様子を見たくて、ビンやケースを動かしてしまいたくなりますが、それは我慢しましょう。
サナギは体内で、成虫になるために、体を作り変えています。振動などの外的刺激によりその成長が妨げられれば、成虫になったときに奇形が生じたり、羽化が失敗したりする可能性が高まることになります。
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野外で採取しやすいうえに丈夫で育てやすいコクワガタ。
初めてクワガタを飼育するという方にはぜひおすすめしたいクワガタです。