はじめに

子供の頃から日本人の身近にいる人気甲虫…それがカブトムシです。特に男の子には大人気です。少し前から外国産を含む“カブトムシ飼育“が流行り世代を問わずその飼育が行われています。

外国産カブトムシが非常に多く流通する現在、日本に生息するカブトムシへの注目度が年々低くなっているように感じます。それでも、国産カブトムシは野生の個体を捕獲して飼育できる上に、ペットショップなどで安価に購入する事もでき、大切に飼育すれば産卵、孵化、蛹化、そして新成虫への羽化という生と死のサイクルを観察でき、外国産のカブトムシを育てるのとは少し違った楽しみがあると思います。元来、日本に昔から生息している昆虫なので、温度管理がいらないのも大きいなあと僕は思います。

イメージは「THE・SAMURAI」です。秋になって一匹だけ生き残ったカブトムシのことを「The Last Samurai」と言います。外国のカブトムシに出来心で浮気しても原点回帰。戻ってくるところはやっぱり国産カブトムシ。日本の夏はやっぱりカブトムシ。

捕獲から繁殖まで失敗することが少なく、初心者でも安心して飼育できる種なので、入門としておすすめです。私たちの身近にいるカブトムシを飼育し、そのライフサイクルを学んでみてはいかがでしょうか。

国産カブトムシの特徴

カブトムシ…実は一種類だけじゃない?

あまり知られていませんがカブトムシは分類上の「種」の総称です。

ざっくり分けると

「昆虫(綱)」→「コウチュウ(目)」→「コガネムシ(科)」→「カブトムシ(種)」となります。

そして日本に生息するカブトムシは、実は1種類だけではないのです!

「種」をさらに細かく分けたものを「亜種」と呼ます。

さて、日本には、原名亜種と3亜種の計4種類のカブトムシが生息しています。

3亜種は「オキナワカブト」「クメジマカブト」「ツチヤカブト」と言い、鹿児島県や沖縄県などの離島に生息しており、一般にペットショップやクヌギ林で捕まえられる原名亜種のカブトムシは「ヤマトカブトムシ」という種名が正式名称です。

オキナワカブトムシ

一般に「沖縄亜種のカブトムシ」に代表されるのが『オキナワカブトムシ』です。頭角・胸角が「ヤマトカブトムシ」と比べてかなり短く、角を除く体長も30~50mmと小型になります。沖縄本島に分布するカブトムシの代表的亜種です。ハイサーイ!

クメジマカブトムシ・ツチヤカブトムシ

クメジマカブトムシ
ツチヤカブトムシ

それぞれ久米島・口永良部島にのみ生息する固有亜種です。オキナワカブトムシ同様小型になりますが「クメジマカブトムシ」の頭角がヤマトカブトムシに比べ短くなるのに対し「ツチヤカブトムシ」はかなり伸長します。沖縄・鹿児島周辺の亜種群は扁平的で小柄な体型持つ個体が多いという傾向があるようですが正直、僕、直接見たことがありませんので、久米島・口永良部島のカブトムシに対して熱い情熱を持った島民の方、情報をご教示いただけますと幸甚でございます。

更に名前は付けられていませんが屋久島・種子島には「カブトムシ屋久島・種子島亜種群」の分布も確認されているようです。

Q「なんだあ。このくらいのカブトムシなら近所の雑木林にたくさんいるよー。」

 「本土の小柄なヤマトカブトムシとどこが違うの?」

A「(見た目の違いは分かりません、同じに見えます僕にも。)遺伝子らしいです。」

茨城県城里町のヤマトカブトムシ
ダブルデートかな

カブトムシ(ヤマトカブトムシ)の見分け方

生息地で見分ける

今回の主役「ヤマトカブトムシ(これより以下カブトムシ)」はその生息地で簡単に判別できます。既に紹介した沖縄・鹿児島周辺の亜熱帯地方に住む亜種群とは違い、カブトムシは北海道・沖縄には本来野生個体はいません。九州・四国・本州にのみ生息しています。しかし、人の手により国内外来種として移入され、今や全国各地で見られるようになってしまいました。

1983年に「ヤンバルテナガコガネ」が発見されるまでは国内最大の甲虫であり、角を除いた全長は70~80mmまでに成長します。オスメスほぼ同じほどの大きさになります。上翅から頭部にかけて赤みを帯びる個体も多く、必ず黒一辺倒という訳ではありません。(ちなみに僕は黒よりも赤味が強い個体が好きです。)

簡単にまとめると、沖縄・鹿児島の該当離島以外で捕まえられるものはほぼ100%ヤマトカブトムシです。

赤味が強いカブトムシ(赤カブと呼んでいます)