クワガタ・カブトムシの採集方法には、ライトトラップや街灯巡り等様々なやり方がありますが、今回は樹液を目当てに集まってきたクワガタムシ・カブトムシを捕まえる樹液採集について紹介します。
子どもから大人まで人気のクワガタムシ・カブトムシですが、何も知識がないまま捕まえにいくのは効率が悪い上に危険が伴うので、しっかり身に付けてから出かけましょう!
樹液採集とは
夏になると樹皮の裏など木の傷ついた箇所から、樹液が流れ出すものがあり、その樹液を目当てにクワガタやカブトムシが集まってきます。
この習性を利用し、集まってきた虫達を捕まえる方法を「樹液採集」と言います。
樹液採集に必要な道具
- 虫とり網
- ピンセット
- ひっかき棒(かき出し棒)
- むしかご
- ライト
樹液採集を効率よく行うために必要な道具を紹介します。
虫とり網ですが、手の届かない高い場所にクワガタやカブトムシが集まっている場合に非常に重宝する道具です。
ピンセットは、木の洞にいるクワガタやカブトムシを取り出す際にあると便利です。
ひっかき棒(かきだし棒)は、樹液採集の必需品とも言える道具で、ピンセットでも取る事ができない木の洞にクワガタやカブトムシがいる場合に使用します。
ひっかき棒の作り方
【用意するもの】
- 金属製のハンガー
- ペンチ
- カッターナイフ
- やすり
まずはハンガーを30〜40センチくらいにカットします。
次にハンガーは針金を覆うように赤色や白色の被覆材がついていますので、カッターで切れ込みを入れ剥がしていきましょう。そうする事でただの針金になります。
そうしたら、針金の先端1〜2センチくらいを曲げて引っ掛かりを作ります。
最後に引っ掛かりの先端をやすりがけしてなめらかにしてクワガタに傷をつけないようにしましょう。
これで完成です!
ひっかき棒があるかないかで、取れるクワガタの数は大きく変わると思います。
ライトは夜間は当然として、昼間も森の奥は薄暗いので、しっかりと準備しておきましょう。
樹液採集時の服装(保護具)
- 帽子
- タオル
- 長袖のシャツ
- 長ズボン
- 軍手
- 靴(サンダルやブーツでは無くスニーカーや運動靴)
樹液採集は基本的に林や森で行いますが、そこには人間を攻撃するようなムシや動物も住んでいます。無防備では非常に危険なので、しっかり安全対策をしてから採集する必要があります。
安全に採集を行うために露出の多い服装は避けましょう。
帽子は日中では必需品です。
日射病にならないように気をつけて採集してください。
タオルは、首にかけて肌を守る役割がある他、汗をふく事ができますので持っていきましょう。
長袖のシャツ・長ズボン・軍手は、肌の露出を最小限にする事で怪我を防ぎます。虫刺されを防止する他、草でかぶれることも防げます。
靴は、サンダルやブーツのようなものでは無く肌の露出がない、そして動きやすいスニーカーや運動靴を履きましょう。靴下はロングだとなお良いです。
保護具に関しては、注意してもしすぎるということはありません。
道具だけで無く、自分を守るためにできることは全てやることで、安全に楽しく採集ができると思います。
長時間の採集なら必ず持っていくこと
- 虫除けスプレー
- 水分
- リュック ※必須ではないが、道具を入れて置けるので便利。
虫除けスプレーは、蚊やアブなどの虫刺されを防止するために使用しまします。
水分は、脱水症状にならないようにお茶やスポーツドリンクを持っていきましょう。日中は当然として、夜間でも水分はこまめに摂ることが大事です。
樹液に集まるクワガタ・カブトムシの種類
ここまで必要な道具について説明しましたが、ではどんな木にクワガタやカブトムシ
がいるかご存じでしょうか?
実は森の中にはクワガタやカブトが「いる木」と「いない木」があります。
代表的な「いる木」は「クヌギ」「コナラ」「ハルニレ」「ヤナギ」です。その中でも「クヌギ」「コナラ」の樹液が大好物です。
「クヌギ」の樹皮は、やや黒っぽくワニの皮のような縦線が入ってゴツゴツとしています。 もっとかいて。
「コナラ」はクヌギの樹皮ほどゴツゴツしていませんが、樹皮は不規則な縦線があり、白っぽい色をしています。葉は長楕円形で、周りはギザギザしており左右対称のような形をしています。
クヌギに比べるとコナラの葉は特徴的ではありませんが、樹皮を見れば一目瞭然だと思います。 あと、近づくと甘酸っぱい匂いがするのも見つけるポイントですね。
「クヌギ」「コナラ」の特徴を覚えておくだけで効率よく採集ができますよ。
逆に「いない木」は人工的に作られた「スギ」や「ヒノキ」が生えている森です。木がまっすぐ上へ伸びているのが特徴で、クワガタやカブトムシの採集には向いていません。
クヌギ・コナラが生えている場所(ポイント)はどういうところ?
「クヌギ」「コナラ」は標高が低い山に生えていることが多く、自然に作られた雑木林に生えていて、どんぐりがなるのが特徴です。そういったポイントを見つけるだけで、採集の効率がグンと上がるはずですよ。
また、クワガタやカブトムシの幼虫は生きた木の幹ではなく、倒木や朽木、落ち葉がいっぱい積もった腐葉土を餌にして冬を越えます。
つまり、朽木などが多く転がっていたり、地面が腐葉土でフカフカな場所にあるクヌギやコナラの近くでは、よりクワガタやカブトムシと出会える確率が高いです。
採集時期や場所によって捕れる種類が違う
いろいろなクワガタが日本には生息していますが、活動場所や捕れる時期は種類によって少し違います。その全てを紹介することは難しいのですが、少しだけ紹介します。
平地によくいるクワガタ
平地で採集できるクワガタは、標高の低い場所で見つけることができます。
採集時の危険も低いので、初心者は平地にいるクワガタから挑戦しましょう。
種類 | コクワガタ |
場所 | 樹皮の裏や木の洞の中、木の表面や葉っぱ |
時間 | 夜間 |
活動時期 | 4月〜10月下旬 |
種類 | ノコギリクワガタ |
場所 | 平地から山地にかけてある広葉樹林 |
時間 | 朝方〜昼間(夜間も活動する個体あり) |
活動時期 | 5月下旬〜9月下旬 |
種類 | ヒラタクワガタ |
場所 | 川近くの林(湿度が高い場所を好む) |
時間 | 夜間 |
活動時期 | 5〜10月 |
種類 | オオクワガタ |
場所 | 低い山や平地の広葉樹 |
時間 | 早朝か夜間 |
活動時期 | 5〜9月下旬 |
オオクワガタ自体は、日本のどこでもと言っていいほど捕まえる事ができますが、見つけるのが本当に難しい種類です。
というのも、住んでいる木が限られているため、他のクワガタに比べると、絶対数が少ないのです。
また、人の気配や物音に敏感で、すぐに隠れてしまうことが多いです。
高山によくいるクワガタ
種類 | ミヤマクワガタ |
場所 | 標高が比較的高い場所 クヌギの木にいる事が多い |
時間 | 朝方〜昼間(夜でも活動している個体もいる) |
活動時期 | 5月下旬〜10月上旬 |
種類 | ヒメオオクワガタ |
場所 | ヤナギ類・ダケカンバ等 |
時間 | 昼夜 |
活動時期 | 6月上旬〜10月頃 |
種類 | スジクワガタ |
場所 | 標高の高い山地(ヤナギの枝先)、低地(クヌギ等の樹液) |
時間 | 夜(薄暗いと昼に活動することもある) |
活動時期 | 5月下旬〜9月頃 |
採集禁止のクワガタ
絶滅危惧種にしていされていたり、条例により採集や譲渡禁止されている場合があります。
採集禁止のクワガタを採ると罰則があるので注意してください。
下記のクワガタは見つけても採集しないようにしましょう。
- オキナワマルバネクワガタ
- アマミシカクワガタ ※樹液採集では取れない
また、場所によってもルールが異なるので、樹液採集をする前に事前に調べておきましょう。
昼と夜で採集効率は変わる?いつ採りに行けばいい?
夜行性のクワガタ・カブトムシですが、昼間も取ることはできます。天気は、晴れか曇りで気温は25度以上あると捕れる確率が上がります。
虫は気温が低いと活発化しないため、気温が高い日を狙って採集に行きましょう。
日中は夜間に比べて明るく周りが見えやすいメリットがありますが、他の虫も活動しています。
特にスズメバチのような、近づくと危険な虫も活発的に活動しますので、見かけたら近づかずにそっとその場から離れるようにしてください。
風は出来るだけ吹いていない方が良いです。クワガタやカブトムシは風が強いと力強く木にしがみつくため、少し揺らした程度では落ちてこなくなります。
ちなみに、雨が降っていても捕まえることはできますが、木を揺らして、落ちてきてもわかりにくい上に、足元が悪く怪我などの危険があります。
採集時に気をつけること
クワガタ・カブトムシ探しは、非常にワクワクして楽しいものですが、同時に危険なこともたくさん
あります。大事なことなのでしっかりチェックしておきましょう。
- 採集時は水分をしっかり摂る
- スズメバチやマムシなど他の動物に注意
- 夜間は虫だけでなく足場にも注意
- 採集をする時はマナーを守る
採集時は水分をしっかり摂る
熱中しているとつい忘れがちですが、熱中症や脱水症状は本当に怖いです。
その場に倒れて動けなくなると、山の中で助けてくれる人はそうそう見つからないです(夜間ならなおさら)。
スズメバチやマムシなど他の動物に注意
スズメバチやマムシといった毒を持った生き物、イノシシなどの動物は、日が出て暖かい日中に活動的です。しっかり周りをみて安全を確認しつつ採集を行いましょう。
万が一襲われても大丈夫なように、しっかりと肌が隠れる服装で挑んでください。夜間は日中よりも活動的ではないですが、活動している場合もあります。
夜間は虫だけでなく足場にも注意
急に足場がなくなり転落してしまわないように、しっかりとライトを照らし注意して採集をしましょう。
採集をする時はマナーを守る
山にゴミをすてたり、樹液が出ていない・虫が木の穴の中に入って採れないからと言って、木を切ったり、傷つけたりするのも好ましいとは言えません。
自然にやさしく、モラルを守って採集を楽しみましょう。
まとめ
樹液採集は楽しいですが、危険な面もありますので、安全に配慮して注意して採集を行ってくださいね。
種類によっては早ければ4月ごろから樹液採集が可能ですが、多くのクワガタ・カブトムシは7〜8月の夏休みの時期に活動していますので、そこで探すのがいいと思います。
また、活動時期は一つの目安で、ピークを過ぎても天気や気温によっては活動して
いる個体もいます。
しっかりと準備をして念願のクワガタやカブトムシをゲットしましょう!