はじめに

カブトムシ・クワガタの幼虫は、菌類に分解された朽木を主にエサとしていますが、完全変態後の成虫はクヌギ・ミズヤナギなどの樹液を好んで食します。(海外では竹の汁を吸う個体も居るようですが。)

人工飼育の環境では、本来のエサである「樹液」を用意することは困難なので、代わりとなるエサが使われます。

カブトムシを始めとする甲虫類の基本食とも言えるのが昆虫用ゼリーです。形は人間用のゼリーパックと同じであり、保管しやすいという大きなメリットがあります。昆虫用ゼリーの中でも高カロリー・高タンパク質のものを与えると、成長促進はもちろん、次世代の幼虫の頑健さにも繋がります。成虫としての活動期間がわずか2〜3ヶ月であるカブトムシは、その間に栄養豊富な樹液を優先的に摂取します。稀に越冬する成虫や、特に産卵前のメスはタンパク質が配合されたゼリーを与えることで、産卵数アップが期待できます。

候補となるエサの検討をしてみます。

・昆虫ゼリー(または人工樹液)

・スイカやバナナなどの果物

昆虫ゼリー

一番オーソドックスです!管理も楽ですので基本的にこれ一択です。ただ、一言で昆虫ゼリーと言っても、様々なものが販売されています。

ゼリーの容器のサイズについて

まずゼリーの容器ですが、Sサイズのカップがあります。このSサイズカップはゼリースプリッターと呼ばれる道具で真っ二つにきれいに切ることができます。1つのゼリーを2つに分けて与えられるので一番経済的です。(ゼリースプリッターを持っていればの話ですが。”split”は「分裂する」で、”-er”を後ろにつけることで「~する者/物、~させる者/物」という意味が付加するので”splitter”は推測するに「分裂させる物」です。)

Sサイズカップであればゼリースプリッターにフィットするので、どの会社のゼリーでも大丈夫でしょう。但し次で説明するワイドカップはフィットしないので注意してください。

Sサイズカップ以外に、ワイドカップというものがあります。Sサイズカップはゼリースプリッターで真っ二つにしないと、実は顎が大きなオスのクワガタは最後までゼリーを食べつくすことが困難です。

そこで、顎が大きいオスのクワガタでもきれいに食べられるように、容器の口径が広いものをワイドカップと呼びます。ゼリースプリッターには入らないので、安全に真っ二つにすることは難しいですが、ゼリーが沢山入っていますので、エサ交換の頻度は下げられるでしょう。

昆虫ゼリーについて

昆虫ゼリーには食いつきをよくするためにバナナ風味、黒糖風味、ヨーグルト風味など様々なフレーバーのものがあります。(普通においしそうですね。コーラ味とかサイダー味は無いのでしょうか。)

嗜好性以外に、たんぱく質を配合した高蛋白質ゼリーと言うものもあります。これはメスが産卵する際にたんぱく質を消費して卵を作ることから、たんぱく質が必要だろうという考えになり、作られました。

産卵時にたんぱく質不足になったメスは自分が生んだ卵や幼虫を捕食し(果てはお父さんのオスまでも)たんぱく質を補給することがあります。これを防ぐ+産卵数をアップさせる目的で高タンパクゼリーがよく勧められています。

実際に産卵数を計った訳ではないので正確には分かりませんが、僕自身も「念のため」という思いで繁殖させるペアには高タンパクゼリーをあげています。

スイカやバナナなどの果物

畑に食べ終わったスイカを捨てたら翌日カブトムシが居た!というお話をたまに聞きます。

僕の実家は城里町という田舎の代名詞的な場所にあるのですが、家の裏の畑に捨ててあるスイカに実際にカブトムシが居たことが多々あります。

それゆえカブトムシやクワガタにはちょうど旬なスイカをあげればいいと思っている人もいます。

スイカを与えることは間違いではないですが、最適解ではありません。知っている人も多いと思いますが、スイカは水分が多いので、カブトムシ・クワガタは下痢をしてしまい、寿命が削られます。

水分が少ないバナナ等であれば問題ないと思いますが、今度は費用面での問題が発生します。そう考えるとやっぱり昆虫ゼリーが一番いいという考えになります。

ちなみに、バナナは焼酎などと合わせて発酵させて、バナナトラップを作る方法があります。発酵臭があるので、屋外で昆虫をおびき寄せるときに使われる方法です。家での普段からの飼育にはもちろん適しません。バナナトラップについて、詳しくは ↓

おわりに

成虫のエサとしてはやっぱり昆虫ゼリーです。Sカップサイズなら半分に割れて経済的です。ただ飼育するだけなら、

Sカップサイズで一番安いゼリーをゼリースプリッターで割って与えればいいと思います。

繁殖を狙っているのであれば、たんぱく質が配合されたエサを使うのがいいでしょう。この場合、ワイドカップであれば産卵セットに数個入れればエサ交換の頻度を減らせます。