はじめに

成虫の管理用マットというものがいくつか存在しています。

なぜ幼虫を飼育するマットと同じものではだめなのかと言うと、ダニやコバエ、さらにはミミズなどのあまり気持ちが良くない虫が発生するからです。発酵マットは生き物のようなもので、一見土に見えますが、あれはかなり細かく砕かれた広葉樹に微生物や菌類が住み着いていて絶え間なく分解を繰り返しています。極小の石が集まった砂であればダニやコバエ等は発生する余地がありませんが、発酵マットはそうはいかないのです。

では成虫管理用にどんなマットを使うべきでしょうか。

上記で例に出した「砂」でも管理はできるかもしれませんが、重いし、水気もあまり保持できません。そこで、コバエやダニなどが発生しにくくて、軽くて手軽に使える(費用の面でも)ものが求められるようになりました。

そこでおすすめしたいのが以下の4点です。ホームセンターの園芸やペットコーナーなどに置いてあります。

・ペレット(針葉樹マット)

・ミズゴケ(水苔)

・ハスクチップ

・バークチップ

ペレット(針葉樹マット)

(ホワイト)ペレット(国産を謳った商品も多い)

本来は薪ストーブ(ペレットストーブ?)の燃料として使われるものです。針葉樹を圧縮して乾燥させたもので、樹皮が含まれていない者を(ホワイト)ペレット、樹皮がある程度含まれているものはバークペレットとも呼ばれます。

これは個人的に最強な成虫管理マットで、一見すると小さな円柱状の木片ですが、霧吹きで水をかけると体積が何倍にもなります。

ホームセンターで10kg=800円程度で販売されています。10kgもあれば大量飼育している人でなければ下手したら10シーズン以上持つのではないでしょうか。(10年以上も昆虫飼育続けられます。継続は力なり。)

とにかく水を加えると、あのカッチカチな頑固ペレットの体積が、もりもりふわっふわのマット状態になるので、少しずつ様子を見ながら加水してください。

もともとは針葉樹なので(針葉樹を好む昆虫類は少ない)コバエなども発生しにくいです!針葉樹の木くずには忌避効果がある(気がします)(木だけに)

ミズゴケ(水苔)

ミズゴケ(チリ産が有名?)

これもホームセンターで売っています。たまにペット飼育用に小分けされた水苔が売られていますが、ぼったくり価格な場合が殆どなので、ペットコーナーの水苔ではなく、素直に園芸コーナーの水苔を購入した方が安く済みます。(その分大量ですがまあ大は小を兼ねるでしょう。)

乾燥しているので軽いですが、かさばります。保水力は名前通り最強です。他の床材にも言えることですが、あまり水気を与えすぎるとすぐに劣化して黒くなってくたびれてしまいます。適度な湿度で管理すると良い気がします。

また、加水した後のペレットは細かな粒子になり、容器を誤ってひっくり返してしまったらもう大惨事、掃除機が満を持して登場するわけですが、ミズゴケは万が一、部屋にぶちまけてしまったとしても手で拾えます。そこがメリットかな・・・。

ただ、昆虫ゼリーの汁を吸ったミズゴケには、カブトムシ・クワガタだけでなくコバエも喜んで吸い付きます。針葉樹のような忌避効果はないです。

500g=1500円ほどでホームセンターで購入できます。

ハスクチップ

ハスクチップ(ココナッツの殻を細かく砕いたもの)

よく爬虫類飼育で用いられる床材です。もちろん昆虫系にも使えます。ある程度保水もしてくれます。ただ、ミズゴケと被りますが、昆虫ゼリーの汁を吸ってしまうことや成虫の排泄物で汚れてしまうとすぐにだめになります。(もちろん他の床材に言えることです。)

また、細かく砕かれているとはいえ、ペレット(針葉樹マット)に比べればゴロゴロしていますので、飼育容器内に吸収しきれなかった水分が溜まることがあります。

因みに「ハスク」は英語の”husk”から来ているようで名詞で「殻」、動詞で「殻をむく」という意味があるようです。また一つ賢くなってしまいました。

バークチップ

バークチップ(ホームセンターでは小・中・大など大きさ別で販売していることが多い。)

ハスクチップはココナッツの殻でしたが、バークチップは樹皮です。これ単体で成虫を管理するというよりは、ペレット+バークチップ、ミズゴケ+バークチップのように組み合わせて僕は使います。

要は成虫の足場です。誤って仰向けになってしまった際に掴まって起き上がれるものが無いと衰弱死してしまいます。飼育容器の大きさに合わせて、表面が軽く覆われるくらいに敷き詰めます。

※産卵材ではないので、ここに卵を産むことはありません。

余談ですが「バーク」とは”bark”から来ており、「樹皮」という意味があるようです。

えっbarkて吠えるじゃないの?って思ったあなたは英検3級以上

おわりに

それぞれの床材は適宜交換する必要性があります。排泄物で汚れがひどくなったら全て交換しましょう。おおよその目安は2週間に1回ほどです。飼育容器がコバエシャッターの場合は、湿気をあまり外に逃がさないように作られているので、霧吹きで水分を与えすぎると、床材はすぐにだめになってしまいます。餌となるゼリーから出る水気や、生体からの排泄物で加水されることを考えて、霧吹きは控えめに行った方が長持ちします。