タイトルキーワード:国産 クワガタ クワガタムシ ミヤマクワガタ イズミヤマクワガタ チョウセンミヤマクワガタ チュウゴクミヤマクワガタ タカサゴミヤマクワガタ L. m. jilinensis 亜種 特徴 飼育方法 飼い方 育て方 寿命 餌 飼育マット 産地 ギネス 生態 データ 種類 卵 幼虫 羽化 生息地 蛹 蛹室
ミヤマクワガタと言えば頭部に大きな突起があり、滅多にお目にかからない珍しいクワガタ…そんな種類を想像しますよね?他のクワガタ…特にノコギリクワガタとは違い、気温が低く涼しい高山地帯に生息しています。目にする機会がないのはそんな生態が原因でしょう。ただこのミヤマクワガタはオオクワガタやヒラタクワガタ・ノコギリクワガタやコクワガタ同様に、全国のお子さん達の憧れの的です。古くから知名度も高く、カブトムシに代表される夏の甲虫の風物詩としてクワガタの仲間でも長い間親しまれてきました。
このミヤマクワガタは他のクワガタと比べて、飼育がやや難しい点があります。ノコギリクワガタやヒラタクワガタに対して『中級種』とも呼べるでしょう。ただ飼育難易度とは別に他のクワガタとは一線を画したフォルム、そして独特の生活様式は子供だけでなく大人も魅了して止みません。
一般的には飼うのがやや難しいとされているミヤマクワガタ。その基本的な飼育方法を説明していきます。
まずミヤマクワガタの特徴についてお話ししていきます。
ミヤマクワガタの特徴
ミヤマクワガタってどんなクワガタなの?
ミヤマクワガタは漢字で書くと“深山鍬形”となります。その名の通り“深山”つまり山深い高山地帯に暮しており、良く見かけるクワガタ種とはかなりの差があります。どちらかといえばその生態や特徴は、有名種オオクワガタに酷似します。野生個体は南西諸島・沖縄県を除く全国各地に分布していますが、山間部近くでないとほぼ出くわすこともありません。
そんなミヤマクワガタですが、国内には2亜種…そして日本近辺の東アジア諸国には4亜種の報告があります。国内種のオスの頭にある冠状突起(※耳状突起と呼ばれています)は国産クワガタ種としてはかなり異例に発達し、その体表には短毛がびっしりと生えていて、山岳地帯特有の霧や降雨で黒く変色し、樹表に近い保護色へ変化します。日光を遮り体温を下げる事にも役立つという、高山昆虫ならではの特徴を持ちます。
その国内亜種は他種と比べると2亜種と非常に少ないのですが、外国に目を向けるとミヤマクワガタは計6種類の亜種群に分かれます。主題の前にまずはミヤマクワガタの亜種ごとの差を見ていきましょう。
ミヤマクワガタ(原名亜種:L. m. maculifemoratus)
ミヤマクワガタ(原名亜種)は発生時の気温差で更に3つの“型”に分かれ、亜種も含めると少しややこしい部分があります。基本的には大顎の内歯で見分けるので、ひとまず亜種の事は置いておき“型”について解説していきます。繁殖する際の温度で“型”が決まるので、増やすことを念頭にする方は参考にして下さい。
ミヤマクワガタ(ヤマ型・基本型)
沖縄県・南西諸島などの亜熱帯地域を除く、全国に生息する最も有名な “ミヤマクワガタ”です。その大顎の形状により「エゾ型」「ヤマ型(基本型)」「サト型(フジ型)」に分けられ、写真の種は「ヤマ型(基本型)」です。
この「ヤマ型(基本型)」は第一内歯(※頭部から大顎先端に向かい第一歯・第二歯…と数えます)と第三内歯がほぼ同じ長さで、先端の二叉がハッキリ見て取れます。このヤマ型種が国内で最も多く生息するミヤマクワガタとなります。
ミヤマクワガタ(エゾ型)
第一内歯が痕跡程度に残り、第三内歯が長く発達しています。大顎の先端部の二叉が3つの型の中で最も発達しているのが特徴的です。名前の通り北海道を中心に生息し、寒冷地域で育った幼虫がエゾ型の新成虫になります。標高1000m以上もの高山地帯にも多く生息する型です。卵から幼虫の育成時期に低めの16℃前後で育てると、この大顎の形に育ち上がります。
ミヤマクワガタ(サト型・フジ型)
第一内歯が最も大きく成長し、大顎先端の二叉部分が小さく余りハッキリとはしていません。23℃以上の気温で繁殖すると100%の確率でこのサト型が発生します。ただミヤマクワガタのメスは25℃以下でないと産卵はしないので、23~25℃の間という、かなり微妙な温度間でしか発生しない珍しい型となります。
イズミヤマクワガタ(L. m. adachii)
国内唯一のミヤマクワガタの亜種で、伊豆諸島の伊豆大島・神津島・三宅島・新島・利島の5島のみに生息します。オス個体は頭部の成長が乏しく、ミヤマクワガタ特有の耳状突起もそれほど発達しません。この5島ごとに僅かな特徴の差が起こります。ハンノキの仲間である“オオシャブシ”の樹液を強く好み、島の環境にうまく順応しています。
チョウセンミヤマクワガタ(L. m. dybowskyi)
朝鮮半島・アムール地方・中国北部を主生息地とします。国内種と比べるとやや丸みを帯び、印象的にがっしりとしています。体色もやや淡くなり、国内種との差は一目瞭然です。
チュウゴクミヤマクワガタ(シナミヤマクワガタ: L. m. boileaui)
生息国・地域は中国湖南省・四川省・陝西省・雲南省・チベットに渡ります。チョウセンミヤマクワガタにやや酷似しますが、大顎が三叉状に枝分かれすることで判別可能です。独立種として報告されていますが、ミヤマクワガタの亜種群として数えられることが一般的です。
タカサゴミヤマクワガタ(L. m. taiwanus)
台湾のみに生息するミヤマクワガタです。大顎先端部以外の内歯がほとんど発達していません。以前は独立種とされていました。
L. m. jilinensis
NO PHOTO
中国吉林省にのみ生息し、流通がほぼない幻のミヤマクワガタ亜種です。とにかく情報が少なく、和名すらなく学名表記で示されています。
ミヤマクワガタの見分け方
生息地で見分けることはできる?見分け方は?
ミヤマクワガタの見分け方は一目瞭然で、他のクワガタにはない頭部の盛り上がり(耳状突起)で簡単に判別できます。ミヤマクワガタはこの『耳状突起』を持つクワガタとして強く印象付いているのではないでしょうか?
ミヤマクワガタはその耳状突起内に筋肉が多く、大顎の可動域も広くなります。そのため挟む力が異様に強く、カブトムシの固い外殻にさえ穴を開け致命傷を与える事さえあります。飼育の際は噛まれないように気を付けましょう。
【生息地での見分け方】
メイトガードするオス個体
ミヤマクワガタは国内種で全国各地に分布しますが、その生息地というよりかは『生息域』で判別することができます。かなり涼しくなる高地を好むクワガタで、その適正温度は夏場でも20~23℃です。25~26℃を上回ると途端に弱ってしまいます。当然ですが他のクワガタ類とは異なり、大部分が標高の高い山岳地帯を生息域としています。また夜行性が基本ですが、昼間にも活発に活動する昼行性も持ち合わせています。
オス個体の全長は約22.9~78.6mとかなりの差があり、ギネス級の個体は偶然にも飼育下と野生下で全く同じ大きさです。かなり闘争心が強いのですが、体重が軽いため勝率は高くはありません。行動がオオクワガタに似通り、木の洞や穴などを休息場やねぐらにしています。
メス個体の大顎は他のクワガタと比べ、ニッパー状の様になりかなり強靭です。樹液などが見つからない場合はクヌギやコナラなどに、短い大顎で自ら傷をつけ餌である樹液を確保することも知られています。この時オスはメスに覆いかぶさる『メイトガード』という行動を取り、そのままパートナーになることがほとんどです。
ミヤマクワガタ 幼虫の特徴・見分け方
ミヤマクワガタの幼虫時の雌雄同定は、そのサイズと頭部(特に将来発現する耳状突起)の幅から推測できます。1齢幼虫での判別はかなり難しくなりますが、2齢・3齢(終齢)となるにつれ見分けがつきやすくなるでしょう。基本的に幼虫時代は蛹を経て成虫になるためのパーツ「幼虫原基」を備えており、耳状突起が発達するミヤマクワガタのオス幼虫は頭部がかなり大きくなります。
反対にメスはオスと比較し全体的にほっそりとしています。100%正しいとは言いにくいのですが、この方法で大まかな雌雄同定の目星は付けられるでしょう。
ミヤマクワガタの習性や生態
ミヤマクワガタは国内クワガタ種としてはかなり変わり者であり、6~7月頃の初夏に新成虫が発生しますが…ひんやりとした気温下でしか見ることができません。そのため野外個体を捕まえる場合は標高が高く、夏場でも涼しい場所に狙いを付けましょう。人の手が加わっていない、手つかずの自然環境を非常に好みます。
その様な環境を好むので旧環境庁からは『指標昆虫』として指定されています。
基本は夜行性ですが昼間にも活動することがあり、生息地や環境によっては日中にもその姿を見かける事があります。このケースは稀で大抵昼間は木の洞や広葉樹の根元の土中などに潜んでいます。大型クワガタとしてはかなり活動的で、樹液を求め飛び廻り、灯火トラップなどにも積極的に飛翔し集まるアクティブさを持ちます。
メスの顎の力もかなりの強さを持ち、樹液などが乏しい場合は自ら木の枝や幹に噛み付き樹液の発生を促すほどです。その匂いに誘われオスがメスと巡り合い、ペアリングに至る訳です。
ミヤマクワガタの成虫寿命はかなり短く、概ね10ヶ月、長くて1年ほどとなります。ただその大部分が蛹室で羽化し地上に出るまでの“休眠期”に当たり、一般的に野外で見る事の出来る“活動期”は約1~3ヶ月に過ぎません。また『正の走光性』つまり灯に集まる性質があり活発に飛翔するため、飼育の際は光を遮断する必要があります。
幼虫は腐植質の多い朽木を主食とし、卵から蛹化するまでに、最大2年間もの長期間を必要とします。オオクワガタに似ている所はあるのですが、ミヤマクワガタはオオクワガタと違い、羽化しても自力でトンネルをこじ開けることができません。そのため前蛹が近づくと幼虫自ら朽木から這い出し、周辺の腐植土内に蛹室を作ります。
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データ
データ
名称 | ミヤマクワガタ(原名亜種) |
学名 | Lucanus maculifemoratus |
難易度(成虫) | ★★★☆☆ |
難易度(産卵~幼虫) | ★★★☆☆ |
力の強さ | ★★★★☆ |
温度(推奨温度) | 約18~23℃ |
大きさ(飼育ギネス) (野外ギネス) オス(野外) メス(野外) | (2014年:78.6mm) (2013年:78.6mm:大阪府妙見山の個体) 22.9~78.6mm 25.0~48.8mm |
成虫寿命(幼虫期間) | 20~24ヶ月(1年8ヶ月~2年) |
値段 | 成虫1000円(サイズに依存:70mmを超えると10000円以上) 幼虫 500~800円(幼虫のサイズによる) |
成虫の活動時期 | 約1~3ヶ月(休眠時期は概ね7~9ヶ月) |
分布 | 本州・四国・九州・北海道・離島群 |
生息環境 | 冷涼な高山地帯 |
採集方法 | 灯火採集・樹液採集・網採集 |
ミヤマクワガタの成虫の飼育方法
ミヤマクワガタの成虫の飼育について
成虫は基本的にペアか単独飼育を行います。喧嘩っ早いクワガタですが、自然下でオスは“メイトガード”と呼ばれるメスの保護を積極的に行うので、餌を切らさなければ問題はありません。また人工的な環境が嫌いなので、可能な限り自然環境に寄せた形で飼育してあげましょう。
成虫飼育のために用意するもの
なるべく広いケージの方が自然環境に寄せやすく、活発なミヤマクワガタには向いています。プラケースのサイズは基本的に「大・特大サイズ」をオススメします。単独飼育の場合はサイズダウンし「中サイズ」で充分です。
飼育ケース
ケージ例:コバエシャッター大(370×221×240mm)
飼育ケースは写真の様に大きさをクリアすれば「昆虫専用ケース」以外の「アクリルケース」や「水槽」等でも全く問題ありません。ただ高温多湿に弱いので、必ず通気口は確保してください。
写真のケースは、ダニ・コバエの侵入をガッツリ防ぐ優れものです。少し分かりにくいですが上蓋に細かいスリットが入っており、きちんと風通しも良くなります。
クリアスライダーケース:愛好家に多用され害虫の侵入も防ぎます
本来ミヤマクワガタ用のものではないケースを使う際は、衣装ケースならキリやドリルで空気穴を開け、水槽ならば網戸上の蓋が必要です。市販品で便利なものも多数ありますが、費用を抑えたかったり、飼育者の好むケージを作りたい場合はこの方法の方が良いでしょう。
成虫飼育用の床材(マット)
市販のクワガタ用発酵マットです。
山間部に住むミヤマクワガタにとって生活の主体であるマットは最も重要になります。基本は発酵が進んだマットに「腐葉土」を足し、混合マットを作り上げて下さい。自然環境に近いマットを用意してあげると、6~9月頃の活動時期にいつの間にか産卵してくれることもあります。
またマットはなるべく厚めに敷いてあげましょう。活発なクワガタであるミヤマクワガタは、蓋などを足がかりにし盛んに動き回ります。転倒防止材のない場所やかなりの高さから落ちると、徐々に弱り始め衰弱死してしまいます。最低でもケースの1/3以上はマットを敷き詰めて下さい。
またそのままの状態だと、マットがカラカラになってしまいます。マットの発酵促進やミヤマクワガタの水分補給のため、霧吹きで湿度を保つようにしましょう。小さな水入れを置いても良いですが、その際はミヤマクワガタが落ちないようにスリットや穴の開いた蓋は必須です。
昆虫ゼリー
昆虫用ゼリーの一例です
人工物ですが餌だけはこの「昆虫用ゼリー」が最も優れており、しかもお安く求められます。写真の商品は「食べやすい広口の浅型カップ」であり、オス個体も大顎の干渉がなく容易に摂取可能です。もちろん他の商品も与えられますが、大顎が邪魔で給餌できないこともあるので気を付けてください。
それらを避けるため、ゼリー用の置き場付き転倒防止材や幹、ゼリーカッターという半分にカップを切断する飼育器具も販売されています。
バナナなど熟した果実も好物なのですが、なかなか保管が難しいのでゼリーに頼る飼育者も多いようです。スイカなどは水分を多く含み、ミヤマクワガタの体調不良に繋がるので、決して与えないで下さい。またゼリーは冷蔵保存をするケースが多いのですが、そのまま与えず室温にしばらく置き温めてから与えましょう。
成虫のエサについて詳しくは→最適な成虫用エサはこれ!必要な栄養を補給できるおすすめのエサ
転倒防止材
ゼリー穴付きの転倒防止材
この様なパークチップ状の転倒防止材もあります
特に活動的なミヤマクワガタには『転倒防止材』は必需品です。カブトムシ・クワガタなどの甲虫は、何らかの原因で一度ひっくり返ってしまうと、足掛かりがなければ起き上がれません。転倒防止材がマット状になければ、起きようともがき続き、体力を消耗し衰弱死にさえ繋がります。もちろん自然採取物でもいいのですが、それらを用いる際は必ず、熱湯や電子レンジで完全滅菌する必要があります。
その他の必須用品
温度計
低めの気温が必要なミヤマクワガタです。気温が測れれは良いので安価なもので全然構わないです。適温は18℃~23℃ですが、30℃未満でもギリギリ耐えてくれます。ただ高温が続くと呆気なく死んでしまうので、日中は緩やかにエアコンをかけた方が良いでしょう。
成虫飼育のポイント
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ミヤマクワガタの繁殖方法
繁殖・ペアリングについて
大前提として25℃以下でなければメスは産卵を行いません。この気温管理は徹底しましょう。
方法は以下の2通りです
・同居させ交尾させる。
・ハンドペアリングを行う。
どちらの方法も発生してから1ヶ月ほど経過した7~9月頃がベストです。地上に出たての頃は充分な栄養も取れていないので、1ヶ月間ゼリーなどをふんだんに与え運動を促し、オスメスの身体作りに努めましょう。
ハンドペアリングの際はまず、充分メスが身体を固定できる太めの木を用意します。ミヤマクワガタは脚力が強く、滅多な事で脚が離れる事はありません。後は背面にオスを乗せるだけです。数十分ほど待ち交尾の終了が確認できたら、メスは産卵用ケースに移しましょう。
同居交尾の場合は同ケースで1週間を目安にペア飼いしましょう。ですが、この方法は交尾の確認が取れない場合があるので、かなり不確かなものになってしまいます。
どちらのケースもメスの産卵に至らなければ、ハンドペアリングは月に2~3回、同居は様子を見ながら、再度継続してください。
産卵について
まず産卵時に用意するものは以下の通りです。
・産卵用ケース(深さがあり大きめのケース)
・無添加産卵マット(発酵熱を抑えるため)
・黒土(園芸用でもOK)
・朽木の止まり木×2
・転倒防止材(できれば落ち葉かチップ状のもの)
・温度計
深さのある巨大ケースが適しています
無添加の産卵マット
乾燥黒土
産卵セットの組み上げ方
① ケース内に握って型崩れしない程度加水した黒土を6リットル加えます。
② さらに無添加の産卵マットを8リットル加え、よく混ぜ合わせます。
③ ①②が完了したら朽木にサッと水をかけます(※木の根元を好み産卵するた
め、疑似的な障害物として用いる訳です)
④ ケース底から5~10cmほどはカチコチに固めます
⑤ さらにその上に朽木を置き、残りのマットを柔かめに押し固めて下さい
⑥ その後メスのために転倒防止材を入れ、温度計を産卵マットに差し込んだ
ら完成です!
産卵ケースの場合は1〜2週間に1度霧吹きを行います。そのまま孵化を待ち幼虫を回収して下さい。
確実に孵化させるためには産卵マットを25℃以下にしなければいけません。
一般的にケース内のマットは外気温より2~3℃上がるので、気温は22~23℃以下に保ち続ける必要があります。
これ以降の幼虫→蛹→新成虫の過程も、この温度帯に倣ってください。
→自分で取ってきた産卵材について
ミヤマクワガタの幼虫の飼育方法
幼虫の飼育について
無事幼虫が孵化したら、割り出し回収し幼虫飼育用のケースに移動します。ケースでの多頭飼育・プリンカップを用いた個別飼育、どちらも可能です。特に割り出しを行わなくても、そのままのケース内で充分育成できます。
幼虫飼育のために用意するもの
〇黒土・完熟マット
〇湿度調整用の水
〇ケージ(プリンカップでも可)
発酵マットは使いません。菌糸瓶も巨大化させたいという目的がなければ、できるだけ避けましょう。本来ミヤマクワガタの幼虫は腐葉土と川砂が混ざり合う場所や、薄暗い竹林の土壌など痩せた土壌で暮すので、さほど高栄養・高カロリー食を必要としません。まずは自然の状態に合わせ、成虫まで育て上げる確実な方法を試していきましょう。
※クワガタ専門店などのプロは巨大化させるため“菌糸瓶”を用います。
幼虫飼育のポイント
幼虫飼育の適温は16~20℃です。餌と生活の場となるマットは2~3ヶ月に一度、古いものを少し残し交換しましょう。古いマットを混ぜ合わせると幼虫のストレス軽減になります。
適宜スプレーなどで給水し、幼虫たちの保湿に努めます。また水はけの良い土地を好むので、風通しが悪かったり密閉したケースはNG事項です。終齢幼虫に育ったらマット交換や温度変化に気をつけ、無暗に掘り出してはいけません。春先の4月頃にマット交換等を全て終わらせ、後は慎重に観察を続けて下さい。
孵化後の蛹化・羽化にはかなりバラつきがあるので焦りは禁物です。最高2年もの間地中に潜むので、顔を出すまでじっくりと待ってあげましょう。
基本的な考え方として
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幼虫から成虫までの飼育記
成長記録
孵化後しばらく経過した1齢幼虫。ここから最大二年間は16~20℃を保ちながら、育て上げる必要がある。
完全に蛹化したミヤマクワガタ。蛹の状態でも特徴的な耳状突起がハッキリと見て取れる。
羽化間近のミヤマクワガタの蛹。頭部・脚部を中心に黒みがかっている。
羽化直後のミヤマクワガタ。
羽化後しばらく経つと徐々に体色が色づき始めます。
地表にミヤマクワガタが姿を見せたら、しばらくはソッと観察してあげて下さい。徐々に活発に動き回り安定し始めたら、ゼリーなどの初期餌を与えましょう。
まとめ
ミヤマクワガタは国産クワガタ種では、飼育難易度が高めのクワガタです。更に大きな個体を育て上げるには、経験と知識が不可欠となります。
成虫の姿はそれまでの温度に強く依存し、コマメな世話は欠かせません。
ノコギリクワガタやコクワガタ、更には国産カブトムシなどの甲虫類で飼育経験を積み、飼育に挑んでみてください。
大切に飼えばその分の頑張りを還元してくれるクワガタです。今回ご紹介したミヤマクワガタ飼育の“基礎”を参考にして頂ければ幸いです。
ギネス級個体を育てるためには
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