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オオクワガタは国産最大級のクワガタで、非常に人気が高い種類です。うまく育てれば大きくなり、80mmを超えるオスはとても迫力があります。丈夫で長生きで高温低温にも比較的強い種類です。幼虫の飼育に菌糸ビンを使えば、初心者でもそこそこの大きさの成虫を羽化させることが可能です。初心者も比較的安心して育てることができる種類なのでおすすめです。

それでは、国産オオクワガタの特徴や飼育方法などについて確認してみましょう!

オオクワガタの特徴

オオクワガタ成虫の特徴・見分け方

オスは体長によってアゴの形が変化します。国産オオクワガタのオスのアゴには内歯が1つ出ていますが、大型個体はより先端に、小型〜中型個体はアゴの中央付近に位置します。コクワガタ、ヒメオオクワガタ、ヒラタクワガタとたまに混同されます。

大歯

中歯

小歯

メスの上羽には点刻線と呼ばれるスジがあり、光沢があります。コクワガタ、ヒラタクワガタ、スジクワガタと見た目が似ていますが、光沢のあるスジ上羽を持つのはオオクワガタのみです。

オスの画像(オオクワ、コクワ、ヒラタ、ヒメオオ)

メスの画像(オオクワ、コクワ、ヒラタ、スジ)

オオクワガタ幼虫の特徴・見分け方

幼虫の場合、成虫と違いはっきりと同定(種を特定すること)することはかなり難しいです。種類が違っても、成虫ほどはっきりとした違いが表れないため、幼虫がいた場所や大きさから、何の種類かを推測するのがいいでしょう。一応、よ〜く観察するとちょっとした違いがあるので以下で紹介します。

幼虫画像(オオクワ、ヒラタ、コクワ、スジ、ミヤマ、ノコ、カブト)

オオクワガタの習性や生態

性格はとても臆病・穏やかで、オスは他のクワガタと比べても「紳士」です。自然界では台場クヌギのウロの中に住んでいて、少しでも何かの気配を感じるとすぐに隠れてしまいます。ただ、ウロの中ではオスとメス夫婦で一緒にすんでいることが多く、メスを守っているように見えることがあります。しかもメスは1匹だけとは限らず、複数いる場合もあるとか。一夫多妻制です。羨ましいですね。

メスもいつもは大人しいのですが、産卵の際には豹変し、タンパク質を求めて、ごく稀に自分の「夫」であるオスを殺してしまったり、他の昆虫の体液を吸ったりすることがあります。いつもはおしとやかなのに、ある時には凶暴化するなんて、かかあ天下です。そうならないためにも、産卵時には高タンパクゼリーを十分に与えてくださいね。

オオクワガタの主な血統と有名産地

オオクワガタで有名な血統は主に以下です。
・能勢
・久留米
・川西

これらはオオクワガタの産地としても有名ですが、このほかにも以下がオオクワガタがいる生息地としてよく知られています。

・福島県南会津郡檜枝岐村周辺
・山梨県韮崎市周辺
・大阪府能勢周辺
・福岡県久留米市周辺

データ

-販売情報-

名称オオクワガタ
学名Dorcus hopei binodulosus
難易度(成虫) ★ ★ ☆ ☆ ☆
難易度(産卵〜幼虫) ★ ★ ☆ ☆ ☆
力の強さ ★ ★ ★ ☆ ☆
温度(推奨温度)5℃〜30℃(25℃前後)
大きさ(飼育ギネス)
オス(野外)
メス(野外)
(2021年:92.6mm)
21mm〜77mm
22mm〜51mm
成虫寿命(幼虫期間)2〜5年(12〜24ヶ月)
値段500円〜100,000円
※サイズ・血統によって大きく異なる
成虫の活動時期5月〜10月
分布日本(北海道〜九州、対馬)
生息環境雑木林、ブナ林(局所的)
採集方法樹液採集、灯火採集、材割採集

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国産オオクワガタの成虫の飼育方法

オオクワガタの成虫の飼育について

成虫の飼育は、基本的にオスとメスを分けます。国産オオクワガタのオスはヒラタクワガタ類ほど気性が荒く無いので、常に同居させることもできます。しかし、十分に成熟していない場合はオスがメスを攻撃してしまうことがあります。成熟しているペアの場合でも、反対にメスが誤ってオスのフセツを切ってしまうこともありますので、交尾させるとき以外は別々の飼育をお勧めします。

(同居させると、オスがメスを守るように寄り添っていたり、餌皿の下に仲良く一緒に隠れていたりという仲睦まじい姿を、実は見ることができます・・・。)

成虫飼育のために用意するもの

飼育ケース

飼育ケースは「昆虫用飼育ケース」という名目で販売されているものなら基本的に問題ありません。
しかし、飼育の手間や飼育環境の維持を考えると、よく売られているケース上部の蓋が網になっているものは避けたほうが無難です。理由は、

・コバエが簡単に侵入・繁殖する。(クワガタ本体に影響はないが飼育者に精神的ダメージ)

・飼育ケースの中がすぐに乾燥する。(ある程度の湿気がないと生きられません。)

・仕切りがついていない物があるので、オス用とメス用の2つを購入しなければならない。(同居させるのであれば勿論1つのケースで足ります。)

以上のことから、僕はコバエシャッター機能のある飼育ケースか、「クリアスライダー」と呼ばれるものをおすすめします。こういった飼育ケースには、コバエが侵入できないほどの小さな空気穴が空いているので、コバエが発生する心配がありません。(既にケース内に侵入していた場合を除く)
さらに、ケース内の乾燥を防いでくれるので、霧吹きをする回数を減らすことができます。
そして、たいていのものに仕切り板がついているので、1つのケースでオスとメスを安全に飼育することができるのです。

飼育ケースについて詳しくは→飼育ケースといったらこれ!管理の手間を減らすおすすめの飼育ケース

成虫飼育用の床材

成虫飼育用の床材は、ダニやコバエが発生する心配の少ない、針葉樹マットやペレットなどがおすすめです。成虫が潜るほど深く詰める必要はありません。発酵マットと呼ばれるものは、産卵や幼虫の飼育に使用します。埋め込みマットと呼ばれるものの同様の使い方をしますが、こちらは成虫が越冬する際にも使われることがあります。越冬させるときは成虫が潜れるくらいの深さにして、乾燥させないようにします。

床材が水気でドロドロになったり、不快な匂いがするようになったら交換時期です。使用後の床材は、針葉樹マットやペレットの場合は再利用不可能なので、幼虫のエサにしないように気をつけましょう。

成虫用の床材について詳しくは→ダニやコバエの発生を防ぐおすすめの成虫用床材

昆虫ゼリー

成虫のエサは、昆虫ゼリーが最も一般的で、管理もしやすいです。その中でもおすすめは、タンパク質が配合されている、「高タンパクゼリー」や「プロゼリー」です。特に産卵前のメスは、タンパク質が配合されたゼリーを与えることで、産卵数アップが期待できます。

専用のエサ以外でも飼育することができますが、スイカなどの水分が多い物だと、昆虫がお腹を壊してしまい、寿命が縮まります。

オオクワガタのような大型のオスが生まれる種には、通常のサイズのゼリーよりも、ワイドカップと呼ばれるものが、より適しています。カップの口径が広くて浅いので、大型のオスでもアゴに邪魔されずに綺麗に食べてくれます。

成虫のエサについて詳しくは→最適な成虫用エサはこれ!必要な栄養を補給できるおすすめのエサ

転倒防止材

床材のみを飼育ケースに入れた状態だと、成虫がひっくり返った時に元に戻ることができません。そのままもがいて体力を消耗し、死亡してしまうことがあります。木の枝や樹皮などをいくつか入れておくと、万が一ひっくり返った時でも自分で元の体勢に戻ることができます。

その他あると便利なもの

成虫の飼育温度

国産オオクワガタは、四季のある日本で生活をしています。環境の変化に強い種類ですので、基本的に常温で飼育することができます。ただし、あまり極端な環境だとさすがに長生きすることはありません。

屋内で飼育する場合に注意しなくてはならないのが「夏」です。日が当たる部屋や、2階で飼育していて、室温が30℃を超える環境に長期間置いておくと、弱ってしまうので注意が必要です。クーラーを使ってなるべく30℃を下回る温度に設定するといいでしょう。冬はしっかりと休眠してもらうために、外気温に近くて、温度変化の少ない暗い場所に置いておくのが望ましい。

屋外で飼育する場合は、日光が直接当たらない日陰で飼育します。太陽光が直接飼育ケースに当たると、逃げ場のないケース内ではあっという間に★になってしまいます。冬は氷点下を下回らない環境に置いてあげる配慮が必要です。

冬場の管理

エアコンやパネルヒーターを使用すれば、冬場でもオオクワガタが活動する環境を作ることは可能です。しかし、活動すればするほど、寿命は縮んで行きます。本来、自然界であれば休眠している期間に活動している訳なので、当然です。国産オオクワガタは「季節」を感じながら生活をしているようで、冬場に無理やり温度を上げて、産卵させようとしても、なかなかうまくいかないようです。オオクワガタを含む国産種には基本的に温度管理は要りません。

成虫飼育のポイント

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オオクワガタの繁殖方法

繁殖について

ペアリングについて

繁殖させるためには成熟したオスとメスを後尾をさせる必要があります。成熟しているかどうかは、エサをしっかりと食べているかどうかで判断します。後尾のさせ方として主に、

・同居させて自然に後尾させる

・人工的に後尾させる(ハンドペアリング)

2つの方法があります。気性の荒いヒラタクワガタ系などでは、オスが誤ってメスを殺してしまうことを防ぐために、攻撃をし始めてもすぐにメスを助けられるハンドペアリングという方法がとられます。

国産オオクワガタの場合は、性格は臆病で大人しく、メスを攻撃することは滅多にありませんので、同居させて自然に後尾させる方法がよくとられます。同居させる期間は1週間程度で問題ありません。同居後は、オスは元の飼育容器に、メスは産卵セットに投入して様子を見ます。

産卵セット作成に必要なもの

飼育ケース

産卵材

埋め込みマット(幼虫飼育用のマットも可)

飼育ケースの底およそ3割くらいにマットを堅く詰めます。その上に加水した産卵材をセットし、その上からマットをふんわり掛けていきます。最後に、マットの上に転倒防止用の樹皮や昆虫ゼリーを置き、暗くて静かな場所にケースを置きます。

約一ヶ月ほどしたら、メスを取り出します。しばらくして幼虫がケースの側面や底面から見えたら、幼虫を回収して個別飼育します。オオクワガタは材産み種で産卵材に卵を産むので、取り出した産卵材は幼虫を潰さないように慎重に割っていきます。

産卵セットの管理

幼虫の割だし

・卵が出てきてしまった場合

・産卵ざいの雑虫について

市販のもので有れば気にする必要はほとんどありません。自分で取ってきた産卵材だと害虫が既に中に住んでいて、カミキリムシや、コメツキムシの幼虫がいた場合は、クワガタの幼虫を殺してしまうことがあるので注意が必要です。

→自分で取ってきた産卵材について

国産オオクワガタの幼虫の飼育方法

オオクワガタの幼虫の飼育について

産卵セットから取り出した幼虫は、その時の大きさによって、個別飼育する容器を決めます。初齢幼虫はプリンカップで、二齢幼虫以降は800cc以上の菌糸ビンで飼育します。

幼虫飼育のために用意するもの

菌糸ビン飼育

オオクワガタの幼虫は一般的に「菌糸ビン」で飼育されます。
ビンと言っても、現在はプラスチックの容器が最も多く使用されています。1ビンに1匹ずつ入れて、約三ヶ月に一度の頻度でビンを交換します。三ヶ月経たなくとも、大型のオスの場合はすぐに菌糸の白い部分が無くなってしまうことがあります。その場合は、三ヶ月経たずともビンを交換してあげた方が大型化します。食べ盛りの頃に食べるものがないのは幼虫にとっても不幸です。初令幼虫の頃は200cc程度のプリンカップで管理し、メスの場合は800cc程度の菌糸ビンを2回、オスの場合は1100cc、最終的には1400cc程度の菌糸ビンにすると蛹室を作る際に窮屈になりません。

オオクワガタの場合は「オオヒラタケ」、「ヒラタケ」、「カワラタケ」の菌糸を幼虫飼育に使用します。オオヒラタケやヒラタケは劣化が遅いので、管理化しやすい菌種です。カワラタケの場合、他の菌種と比較すると劣化するのが早いので、オオヒラタケか、ヒラタケがおすすめです。

マット飼育

菌糸ビンは何度も交換し、費用も高くついてしまいますが、オオクワガタはクワガタの幼虫用のマットでも飼育ができます。菌糸ビンと比べると、成長が遅く、大型個体にはなり辛いですが、費用を抑えることができます。自然界のオオクワガタはキノコ菌が入った材を食べて成長するので、市販されているものでも、材を細かく砕いたようなものは、マット飼育に適しています。

ただし、カブトムシ用と書いてあるマットは、発酵度合いが高すぎてオオクワガタの幼虫飼育には向きません。食べることできずに衰弱して死んでしまうので注意してください。

材飼育

材飼育は大き目の産卵材を用意して、その中で幼虫を飼育する方法です。自然界と全く同じ条件で幼虫を育てます。栄養があまり無いため、成虫になるまで長い年月を要しますが、生まれてくる個体の形が整っていて美しいと言われています。(そもそも何をもってして美しいのか)

材飼育にあえて挑戦する人は、なるべく芯がない大き目の材を用意してあげた方がいいでしょう。木の中にずっといるため、当たり前ですが観察はほとんど出来ません。

幼虫飼育のポイント

オオクワガタの幼虫の場合、冬場でも加温をすると大型個体を狙うことができます。ただし、一定期間、幼虫に「冬」を感じさせないと、「セミ化」と呼ばれる状態になり、サナギになることなく死んでしまうことがあるので注意が必要です。

セミ化を防ぐためには一定期間、低い温度で管理する必要がありますが、どのくらいの間、どのくらいの温度以下で管理するかにはさまざまな考え方があります。

基本的な考え方として

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幼虫から成虫までの飼育記

成長記録

孵化したばかりは何も食べていないので体は白い。顎は硬化しているためか、色づいている。

数日経過すると体も大きくなる。

この段階では足を一本一本動かしたりしている様子も観察できる。

まだ頭が完全に起き上がっていません。この後時間をかけて少しずつ頭が起き上がってきます。

頭はほとんど起き上がりました。あとは体全体が硬化するのをじっと待ちます。羽化直後のこの時は、羽が透き通っていてとても綺麗です。

体を効率よく乾かすためか、この時期は自らひっくり返ってじっとしていることが多い。決して弱っている訳ではないので、無理に元に戻そうとしなくて良い。

見た目は大分黒っぽくなりましたが、後食まではまだまだ時間が掛かります。

お腹側はまだ赤いので完全には固まっていません。餌を自ら食べ始めるまではそっとしておいてあげることが必要です。交尾などの繁殖は基本的に翌年に行った方がいいでしょう。

まとめ

オオクワガタは国産種で特に温度管理は不要で、丈夫な種です。
寿命も長くて飼育しやすいので初心者におすすめです。

ギネス級個体を育てるためには

後日追加予定

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