カブトムシ幼虫の特徴・見分け方

初令幼虫(孵化直後)
三令幼虫

 カブトムシの幼虫かどうかを判断するためには、①幼虫が居た場所と②その幼虫の特徴の2つを考える必要があります。

 ①その幼虫がいた場所は腐葉土などがある広い土地(畑など)ですか。それとも花壇などの狭くて限られた場所ですか。

 → 腐葉土などにいる幼虫はカブトムシの可能性が高いです。反対に花壇などにいるものはコガネムシやハナムグリの幼虫である場合が殆どです。

 ②その幼虫のおしりの割れ目は水平ですか。それとも垂直ですか。

 → カブトムシ系の幼虫のおしりの割れ目は水平(横)です。クワガタ系は垂直(縦)に割れています。なお、悩ましいことに、コガネムシ系は水平も垂直もどちらのパターンもあります。

 ③その幼虫は500円玉よりも大きいですか。

 → 500円玉よりも明らかに大きい幼虫はほぼカブトムシの幼虫です。そのくらいのサイズになる幼虫はカブトムシくらいしか日本には居ません。初齢~2齢あたりまではコガネムシ等の幼虫とほぼ同じ大きさです。

 ④動きはゆっくりですか、それとも早いですか。

 → 動きが比較的ゆっくりしているものはカブトムシの幼虫の可能性が高いです。早く動く幼虫はカナブン等のコガネムシ系です。なお、何をもってして動きが早いのか・遅いのかは言うまでもなく個人の感覚に依りますが・・・。あと強いて言うのであればコガネムシ系の方が比較的「毛深い」です。

どちらがカブトムシの幼虫か分かりますか。↓

答え 

左がコガネムシ、右がカブトムシです。

 カブトムシの幼虫のオス・メスの雌雄判別は難しいですが、コツを掴めば可能です。カブトムシは孵化直後の1令幼虫が段々と脱皮し2令幼虫・3令幼虫・前蛹(蛹化直前の幼虫)と育ち蛹となります。この3令幼虫の時点で雌雄判別を行うことができます。幼虫の3節目(※幼虫の輪の様な部分が節でお尻の一番先が1節目です)に注目しましょう。この部分に小さな「v」マークがあるのがオス個体です。そしてこの頃には体重にも差がつきオスは30gメスは25gと幼虫の時点でオスの方がやや重くなるようです。

カブトムシの習性や生態

カブトムシは夜行性であり、自然界では雑木林・クヌギ林など樹液を出す樹木に依存し、昼間はカラス・狸などの天敵を避け木のや小高い場所でジッと過ごしています。メスは餌場の木から離れた落ち葉の下・半土中で日中を過ごします。

夜になり樹液に集まる姿は有名ですね。樹液は森に住む昆虫類の貴重な栄養源です。カナブンや蛾・蝶、オオスズメバチなども盛んにその恩恵を求めますが、カブトムシは甲虫特有の硬い外殻・力のある頭角・胸角を駆使し他の昆虫を物ともしません。ライバル「クワガタムシ」でさえ滅多にカブトムシには太刀打ち出来ず、名実共に森の昆虫の王様とも言えるでしょう。

成虫になってからのカブトムシの寿命は数か月と短命です。夏場の活動期にオス・メスは交尾をし、メスは幼虫の餌となる落ち葉の多い腐葉土地帯に10〜60個、大きさ1〜3mmほどの小さな卵を産み生命を繋ぎます。

メスは一度交尾をするとその後の交尾は拒絶します。この際オスがメスを角で投げ飛ばし産卵前に弱らせてしまうこともあります。基本的にカブトムシは相手を選ばない『一夫多妻制』であり、他ペアの交尾最中に割入り自分の子孫を残すことさえあります。

成虫の活動期である夏場の2〜3ヶ月に、飼育下でも適切な飼育をすると、人工繁殖も比較的容易に行えます。

データ

名称ヤマトカブトムシ(カブトムシ)
学名Trypoxylus dichotomus
難易度(成虫)★☆☆☆☆
難易度(産卵~幼虫)★★☆☆☆
力の強さ★★★☆☆
温度(推奨温度)室内無加温飼育が可能(20℃付近が成虫の適温)
大きさ(飼育ギネス)    (野外ギネス) オス(野外) メス(野外)(2017年:91.7mm) (2012年:87.3mm) 30~54mm 30~52mm
成虫寿命(幼虫期間)2~3ヶ月(約8ヶ月)
値段300~600円(オスの方がやや高額)
成虫の活動時期7月~10月
分布日本(本州・四国・九州)
生息環境雑木林・クヌギ林
採集方法網採集・蹴木採集・樹液採集・灯火採集