カブトムシの繁殖方法

繁殖・ペアリングについて

重要なのはしっかりとオスとメスを成熟させることです。繁殖を狙うには羽化したての6月ごろが要となります。この時期に「昆虫ゼリー」を始めとした「ゼリータンク」「昆虫の蜜」など各メーカー市販の高栄養価の餌を与えましょう。餌は夕方に毎日与えます。こうして7〜8月の産卵期までに十分に成熟させましょう。その後は以下の2通りの方法で交尾をさせメスの産卵に備えてください。

交尾方法は…

・同居させ自然に交尾させる。

・目の前で交尾させる“ハンドペアリング”を行う。

以上2つの方法があります。国産カブトムシは外国産カブトムシと比べるとオスの気性は荒くなく、自然に交尾させる方法がベストです。メスが十分成熟していなかったり、一度交尾を経験していると、オスのやる気が空回りメスを執拗に追い回したりして、衰弱させてしてしまいます。そのため成熟度が不明な場合は“ハンドペアリング”を行う方が安全です。オスは腹部末端に赤みがかる「生殖器」を持つので、交尾が行われたかどうか必ず確認してください。自然交尾は産卵用ケースで行うのがベストです。交尾確認後はオスを別ケースへ移動させ、メスの産卵を待つだけです。

ハンドペアリングはメスがしっかり身体を固定できる安定した足場を用意します。オスを手に乗せそのままメスの後背部から上に乗せてあげましょう。そのまま交尾が始まったら無理に引き離さないで、自然に離れるまで待ちます。安定した繁殖に持ち込むにはオス・メスを充分成熟させることが一番大切です。

プロは黒糖などを煮詰めた自作の餌を与えますが、まずは各メーカーの市販品に頼らせてもらいましょう。

産卵セット作成に必要なもの

・産卵用ケース

・産卵マット(幼虫育成用マット)

市販されているマットの一例です。

一昔前は園芸用の腐葉土やオガクズを深く敷き詰め流用していました。成虫飼育用の床材はダニやコバエ…その他害虫が発生する心配の少ない、市販の昆虫用マット等がお勧めです。(それでもモノによってはコバエやミミズが発生することがあります。)

実はカブトムシの成虫は実際それほど床材に頻繁に潜らず、深く敷き詰める必要は一切ありません。腐葉土などの「完熟マット(高発酵マット)」などは産卵や幼虫飼育に限定的に使用します。様々なマットが市販されており目移りしますが、基本的には適度な湿度・ダニや害虫の発生源にならなければ問題ありません。どうしてもコバエやミミズなどの発生が気になるのであれば、開封する前に冷凍庫に入れて数日凍らせるのも手です。大分、発生を抑えられるはずです。

尚、園芸用品は化学肥料など昆虫に害を与えるものが混入されている事もあるので、避けた方が無難です。

カブトムシの産卵は大きめのケースに充分マットを入れることがコツです。ケースはL・LLサイズや、それに近い広さのものを使用してください。マットは各社市販品の「産卵用マット」「幼虫育成用マット」を使用しましょう。雑木林の土・腐葉土も使えますが、害虫や化学肥料などの混入に気をつけてください。マットが用意できたらケース内に充分に敷き詰め「マットプレス」や「拳」「掌」でしっかり押し固めます。ケースの底から約10cmの底部は特に力を入れ強く押し固めましょう。水分量はマットを軽く握りバラけない程度が目安となります。単純な霧吹きでも構いませんが、万全を記す場合は水道水の塩素を除去し使用するか「昆虫ウォーター」などの市販品を使うと良いでしょう。あまりにビショビショにすると餌となる発酵した葉が腐敗し黄土色のドロドロになるので注意が必要です。

メスはマットが浅過ぎると産卵をしないことがあります。産卵ケースの約6〜7割を目安に深くマットを押し固めてください。用意した産卵ケースに交尾後のメスを入れ、マット内に潜り込めば数十個ほどの卵を産みつけているはずです。ただメスの産卵確認は甲虫なので体型からの判断は難しくなります。卵は繊細で潰れやすく、メスが作った卵室で守られています。掘り起こし確認したくなる気持ちは分かりますが、一令幼虫が孵化するまではジッと待ちましょう。幼虫は冬以外は活発に動き回り摂食するので、ケース壁面などでその様子が観察できます。

産卵セットの管理

・卵が地表に出てきた場合

・産卵床(マット)の動植物混入について

何らかの要因で卵が地表に出てきてしまうことがあります。湿度や明るさの関係で確実に死卵になるので、指でマットに穴を開け埋め戻します。またプリンケースに隔離し個別に管理しても良いでしょう。メスは産卵の際に卵管で一卵づつ「卵室」を作るので、表出した卵の孵化率はどうしても下がってしまいます。このような事故を避けるために予防としてマットを強く押し固めます。

市販の産卵マットにはダニや線虫、菌糸が生えることがあります。幼虫には無害なので、なるべくマットの寿命(2週間ほど)まで耐えるのが賢明です。卵や幼虫・蛹時代は無闇に掘り起こすのは避けましょう。野外採取の産卵床には様々な生き物が混入します。その中でも「コメツキムシ」「ツチバチ」の幼虫や「蟻」はカブトムシの幼虫を襲ってしまいます。毎日の観察の中で幼虫が酷く動き回っていたり(襲われ逃げ回っています)地表を歩き回っていたら要注意です。すぐに産卵床を全交換しましょう。

卵・幼虫用の育成マットの場合は、保湿性ももちろんですが、マットそのものが餌となっています。そのため糞(※コロコロした糞を排泄します)が増えてきたら、早めにマットを交換すると良いでしょう。食べられる餌が無ければすぐにサナギになり、とても小さな成虫が爆誕します。

→自分で取ってきた産卵材について

国産カブトムシの幼虫の飼育方法

カブトムシの幼虫の飼育について

カブトムシの幼虫は冬場には餌をあまり取らず約3ヶ月ほど半冬眠状態(動きが鈍くなるだけで完全冬眠ではありません)になります。その他の季節は非常によく動き回り貪欲に餌を求めます。その顎も強靭で発泡スチロールなどは簡単に食い破ってしまいます。そのため複数飼育・個別飼育共に頑丈なケースと、餌であるマット・腐葉土等を多く敷き詰める広い容積が必要です。マットの容積が大きければ温度が安定し、幼虫は好適温度を自ら探し出します。冬場などはマットによる保温・室内の温度に囲まれた高温部のケース底にジッとする姿がよく見られます。成虫の大きさや頑丈さは幼虫時代に確定します。幼虫時代に栄養価の高い餌を充分に与え、頑丈で大きな成虫に育てあげましょう。

幼虫飼育のために用意するもの

・クリアボトル(個別飼育の場合)

・プラケース(衣装ケース)

カブトムシの幼虫は一般的に大容量のケースで飼育されます。個別飼育も可能ですが羽化した成虫が小型化する傾向が多く見られます。広く普及している方法はプラケース飼育です。3〜5匹の幼虫なら問題なく飼育でき、メンテナンスも手間要らずです。10匹単位の飼育には『衣装ケース』が最も使い勝手が良く、頻繁に用いられています。とにかく活動期はよく餌を食べ排泄するので、この時期の飼育はより力を入れてください。個別飼育はクワガタムシでよく行われますが、カブトムシにはあまり適していません。運動量やマット替えの頻度が関係していると言われますが、幼虫が大きく育たない傾向があり、かなり貧弱な個体になってしまいます。個別飼育は基本的に市販の「カブトムシ・クワガタ用ボトル」と言った筒状のケースで飼育します。ボトルケースは一番大きなサイズを選択してください。

幼虫飼育のポイント

カブトムシは冬場を幼虫の形で迎えますが、この際パネルヒーターや暖房等は不要です。幼虫は体内に幼虫原基という将来成虫になる器官を備えており、体内ホルモンや餌・気温などの環境変化により繊細なバランスが保たれています。そのため冬を経験しないとうまく蛹化しません。幼虫の糞や餌用マットの状態を観察しながらこまめに交換し、後は自然に任せましょう。順調に飼育すれば2回の脱皮を経て、10cmほどの3令幼虫にまで育ちます。ある日突然幼虫の姿が見えなくなりますが、これ以降は掘り起こしやマット交換を行うのは禁物です。

3令幼虫は4〜5月ごろになると1箇所に留まり周囲のマットを押し固め『蛹室』を作ります。この蛹室はカブトムシにとって最も大事なものです。蛹化・羽化・羽化後の体づくりの全て蛹室で行うので決して壊してはいけません。

幼虫の動きが止まり全身が褐色化する「前蛹」となります。これ以降、羽化するまでは適切な湿度・温度を維持するだけです。やがて幼虫の体表が裂けるように蛹化します。後は成虫の羽化を待つのみです。この時点で油断せず、蛹室維持のための霧吹きは欠かさないでください。ケージも直射日光が当たらない暗所に移し、余程のことがない限り移動は控えます。

蛹の色が段々と濃い茶色になれば問題なく生きています。6月ごろには蛹室内で前翅が白い新成虫(オスは頭角の脱皮殻が残ります)が羽化します。この際も新成虫を慌てて掘り出すのはNGです。蛹室上部にぶら下がり体づくりを終えたら自ら地表に顔を出すので、見守り続けてあげましょう。

基本的な考え方として

-販売情報-